サロン・デュ・ショコラ2017で開催されたアンリ・ルルーのジュリアン・グジアン氏トークショーに参加しました。
フランス、ブルターニュにお店を構えるアンリ・ルルー(HENRI LE ROUX)は、塩バターキャラメルC.B.S.で有名なブランドで、塩スイーツの先駆者として名が知られています。それまでフランスでは料理に塩を使う習慣がなかったため、甘さに塩味を効かせたのがとても評判になったのだそうです。ジュリアン・グジアン氏は、2010年にアンリ・ルルーを継ぎC.C.C.で欠かすことのできないショコラティエに選出されるなど、老舗に新たなドラマと革新を巻き起こしています。
今年のバレンタインの新作日本への旅(Voyage au Japon)は、アンリ・ルルー創業40周年と日本での展開10周年という2つのアニバーサリーを祝い、1555年創業という京友禅の老舗千總(ちそう)とコラボレーションした作品です。日本の素材から刺激を受けた「キョウト」「ユズ・マント」「ユズ・バジリック」「ゴマ」と、ブランドの故郷・ブルターニュを感じるショコラを、それに日本の伝統文様を組み合わせて、ブルターニュと日本をつなぐ穏やかな海に想いを馳せたそうです。
キョウト(Kyoto)です。商品説明によると「レモンの皮を混ぜたほうじ茶のプラリネを、ショコラ・ノワールでコーティング。ほうじ茶の香ばしい香りの後に、レモンの香りの余韻が感じられるボンボン・ショコラ。天面には、七つの宝を表し、周年を祝うに相応しい日本の伝統文様“ 七宝柄 ”をあしら」ったそうです。
レモンの清々しい酸味がナッツのまろやかな甘味で包まれ、さらにほうじ茶の芳しい香りが漂います。終わりにコーティングのチョコレート苦味が広がります。
ユズ・マント(Yuzu Menthe)です。商品説明によると「ユズを使用したガナッシュに、ミントをプラス。ミントの新鮮な風味と爽やかさを追求したボンボン・ショコラ。天面には、牡丹、梅、鉄線などさまざまな季節の草花をあしら」ったそうです。
モロッコのミントティーを使っているそうです。柚子のさっぱりとした香りにミントの青い香りが夏の京都を思わせます。ビターチョコレートの苦味がミントの清々しい香りとうまく合わさっておいしいです。柚子とミントという珍しい組み合わせは、一瞬ヨモギを思わせました。
ユズ・バジリック(Yuzu Basilic)です。商品説明によると「ユズの酸味とバジルの苦み(青さ)をあわせ、バジルの独特の風味をたたせました。天面には、末広がりを意味する日本の伝統文様“青海波”をあしらい、ブルターニュと日本の繋がりを表現し」たそうです。
食べた瞬間バジルの青い香りが鮮明に広がります。柚子の香りがバジルを支える感じです。青い海をイメージして作られたのでしょう。ちょうどこの時、サロン・デュ・ショコラの会場からすぐ近いところにある出光美術館で岩佐又兵衛と源氏物語をテーマにした展覧会が開かれていました。この模様を見た時に、紅葉賀で源氏が青海波を舞うシーンを思い出して、実にロマンチックな印象を持ちました。
バラデロ(Varadero)は2014年C.C.C.金のタブレットを受賞。商品説明によると「ココナッツのプラリネをショコラ・ノワールでコーティング。なめたかなテクスチャーの中にもかりっとした食感があり、フルール・ド・セルがアクセントになっています。かつてアルカポネのお気に入りだったキューバでもっとも美しいビーチへのオマージュとして誕生したショコラ」なんだそうです。
ココナッツの清涼感とプラリネの旨みがバランスよく香り、サクサクとした歯応えが楽しめます。ビターチョコレートの上質な苦味が味を整え、トッピングの塩が味にアクセントを加えます。様々な味が次々と溶け合い変化し、さらに質感の違いまでも楽しめる特別な一粒です。
セシュアン(Szechwan)はセシュアンはユニークな形をしています。2014年C.C.C.金のタブレットを受賞。商品説明によると「ヌガティーヌと四川山椒のガナッシュをショコラ・ノワールでコーティング。ピリッとした山椒がアクセントになる大人な味わい」だそうです。
ビターチョコレートの苦味に花山椒のフローラルで艶やかな香りが加わり、そこにヌガーの甘さとナッツの食感も加わります。様々な味と香りのハーモニーが見事。山椒が長く余韻として残ります。
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