伊勢丹サロン・デュ・ショコラで1月31日にドモーリ(Domori)のセミナーが開かれました。イタリアのドモーリ社の創始者でカカオソムリエのジャンルーカ・フランゾーニ氏(Gianluca Franzoni, Mack Domori)直々のテイスティングレッスンとあって、参加しているだけなのにやや興奮気味。
さっそうと現れたフランゾーニ氏は、なんだかギリシャの彫刻にでもありそうな彫りの深いラテン系な色男です。素肌に着た形の良いシャツがセンスの良さを感じさせます。どうして、ショコラティエはみなさんイイ男揃いなんでしょう。
最初からカカオの魅力について熱く語り、途中まで椅子に腰掛けることを忘れるほど。ドモーリオリジナルのビデオを交えながら、接木からカカオが生ってチョコレートになるまでを解説されました。
ドモーリのチョコレートの特徴は、何といってもチョコレートからレシチンとバニラを除いたこと。つまり、カカオ豆に砂糖以外は何も足さずにチョコレートを作ります。カカオ豆から取り出したココアバターさえも追加することはありません。ですから、純粋にカカオ豆のアロマを知ることができるのです。
さて、今回テイスティングに登場したのは12種類のチョコレートです。まず、ドモーリの産地別チョコレートで6種類のキャレ(正方形のチョコレート。ナポリタンとも言います)のセット。
こちらは以前に食べたことがあるものばかりです。アプリマック(Apurimac、ペルー産)、アッリーバ(Arriba、エクアドル産)、サンビラーノ(Sambirano、マダガスカル産)、スール・デル・ラーゴ(Sur del Lago、ベネズアラ産)、テユーナ(Teyuna、コロンビア産)、リオ・カリーベ(Rio Caribe、ベネズエラ産)です。
次いで6種類の特別なクリオロ種のチョコレートが出てきました。プエルトフィーノ(Puertofino、Ocumare 71、ベネズエラ産)、プエルトマーレ(Puertomar、Ocumare 61、ベネズエラ産)、ジャバブランド(Javablond、インドネシア産)、カノアーボ(Canoabo、ベネズエラ産)、ポルセラーナ(Porcelana、ベネズエラ産)、チュアオ(Cuao、ベネズエラ産)です。
なんて贅沢なテイスティングでしょう。でも、次々に出てくるので、味わう余裕もないくらいの忙しさ。水を持って行かなかったことが最大の敗因ですが、これだけ味わうと4枚目くらいからは舌がざらついてしまいます。しっかり味わいたいならクラッカーも持ち込む必要がありそうでした。そんな厳しい状況でしたが、初めて味わうカカオもありましたのでメモ代わりに感想を綴っておきたいと思います。
プエルトフィーノ:2004年に初めてドモーリが商品化した。苦味成分であるテオブロミンが少なく、甘みのある品種。「キャラメル、タバコ、クルミ、パパイア、下草、マッシュルーム、ナツメヤシの香り」。
キャラメルやタバコの香りがあり甘酸っぱい。まろやかさに欠ける分、爽やかな苦味が際立ちます。
プエルトマーレ:タンニンが少なく醗酵期間が短い。75%カカオにしてもいいくらいのアロマである。「クリーム、スパイス、アーモンド、サクランボのジャムの香り。素晴らしく口当たりが良く、まろやか」。
プエルトフィーノと比べると、ずいぶん優しくて食べやすい。アーモンドやバナナのような苦味がありながら、甘みのあってクリーミーな口当たりです。
ジャバブランド:「タバコ、赤い実、スモーク、下草の香り」スモーキーでレザーの香りがする。
他のものより色味が赤い。酸っぱいです。これは人によって好き嫌いが分かれるチョコレートです。決して食べやすいものではありません。スモーキーでレザーの香りがあり、酸味も強い。この燻製臭は薪の上で乾燥させていることが影響しているかもしれないとのこと。物珍しいけど、私は苦手な味。
カノアーボ:フランゾーニ氏がジャングルで発見し、それを接木で増やしたもの。「ミルククリーム、ナツメヤシ、アーモンドの香り。驚異的なまろやかさと余韻の長さが特徴です。」
パンを食べているような温かみのある香りです。クリーミーでドライフルーツの香りがします。バナナのようなやさしい酸味。チュアオと比べて余韻に苦味が混ざります。苦味も酸味も甘味もあるけれど、どれも尖った感覚がなく、すべて滑らかなのが大きな特徴。
ポルセラーナ:1600年代からある伝統的な品種ですが、19世紀以来廃れたものを1996年にドモーリが商品化しました。ポルセラーナとは磁器の意味で、これはカカオポッドがつるりとした質感があるためです。通常カカオの木は接木して5年ほどでカカオポッドが生るものですが、この品種は生育が遅く、フルーツをつけるまで7年もかかるそうです。
これもまろやかな味。クリーミーでドライフルーツの苦味があります。カノアーボとかなり似ていますが、こちらはわずかにスモーキーな香りが乗っています。
チュアオ:このカカオの復活は、ここ10年来のビッグニュースになりました。他のブランドのチュアオが自然に交配が行われてできた雑種やブレンド製品なのとは異なり、ドモーリのは本来チュアオといわれていた種の純粋な遺伝子を持っているカカオ豆をつかっている。
「瞬時に広がるドライフルーツ(特にアーモンド)の香り。それに続くバニラとミルククリームの香り。素晴らしい甘みとまろやかさが特徴です。」
先にカノアーボとポルセラーナを食べたので、この驚異的なまろやかさにさほど驚かずにいられました。この3種類はよく似ています。チュアオはこの中で最も甘い香りとまろやかな酸味があります。
トークショーが終わって会場を後にする時、フランゾーニ氏自ら手渡しでリオ・カリーベをお土産に頂きました。最後まで大満足なトークショーでした。
そして、今年も当然ながら会場でドモーリのチョコレートを買いました。これは以前も紹介したチュアオです。昨年は袋のままだったのが、今年は箱入りで売られていました。カノアーボも買いました。こちらはまた後ほど詳しく紹介したいと思います。
内容量は変わらず25gです。
箱に入っていたので、今回は割れずにすんだところが大きな違い。
特別販売だった去年は1200円でしたが、今年は840円でした。やっとうれしい値段になりました。
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