山川健一著の「チョコレート休暇」は、ソフト・ハードボイルド短編集。五木寛之の青春小説のような、青っぽさがむず痒い。どの作品にもキャンディーでできているような女の子が登場する、甘ったるくてアンニュイな(ブルージーっていうの?)物語です。
「半斤のパン」は夫のいる女を忘れられずにいる男の話。
かかってくるはずのない彼女からの電話を家で待ち続け、男は彼女をあまりに愛しすぎて、そのうち彼女と同化していきます。公衆電話から自分の家に電話をかけて、録音された自分自身の声を聞く。
初めは彼女からの愛の言葉が続くメッセージ。
次第に、「電話に出て」と懇願するかのような彼女からの愛の言葉に変わっていきます。
男性の失恋の詩で有名になった槇原敬之を思い出すような、恋愛における幼さがモチーフです。
ちょっと切ない。
表題作の「チョコレート休暇」は少女マリリンがシック・センター(チョコレート中毒を克服する話。
物語の中に色々なチョコレートが登場します。
ブランドをあげると、スシャール(suchard;スイス)、トブラ(Toblerone;スイス)、ザロッティ(Sarotti;ドイツ)、スニッカーズ(SNICKERS;アメリカ)、エフェム(Effem;アメリカ、マーズ社)、ペインズ(paynes;イギリス)、ストーク(STORCK;ドイツ)、明治製菓、グリスビー(GRISBÌ;イタリア、VICENZI社)、ミスターディ、ベルンリー(Wernli;スイス)、B&H、トラピスチヌ修道院、リンツ(Lindt)、グリコ、不二家、マルキーズ(Marquise de Sevigne;フランス)、フォーション(FAUCHON;フランス)、バールセン(Bahlsen;ドイツ)、ブルーバード(Bluebird;イギリス)、ハーシー(Hershey;アメリカ)、ドロステ(Droste;ドイツ)、リッター(Ritter SPORT;スイス)、アンデス(Andes;アメリカ、Tootsie社)ってな勢いで、マリリンのチョコレート中毒は、国内品に留まらず、スーパーの輸入チョコレートコーナーの売上にかなり貢献していたもよう。
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