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エクアドルカカオ&チョコレート 展示会&テイスティング

セミナー

エクアドル産のカカオは、2024年現在世界3位、南米1位の生産量で、しかも高品質なことで知られています。先週、そのエクアドル産カカオを広く知ってもらおうと、エクアドル共和国大使館主催のイベント『エクアドルカカオ&チョコレート 展示会&テイスティング』が東京・中目黒で開かれました。幅広い業種の方々が五、六十名ほど集まり、大変盛況でした。

会場の入口側に飾られていたのは人頭を模した鐙型注口土器(あぶみがたちゅうこうどき)のレプリカです。

2018年に発表された論文で、この土器の現物を含む陶片試料からカカオの痕跡が検出されて、カカオの起源を大きく遡る発見に繋がりました。

20年ほど前までカカオは中央アメリカ原産だと信じられてきました。今でもネットでは、カカオのルーツをメソアメリカとしているページが検索結果に出てきます。それは、大航海時代にアメリカ大陸に到達した欧州人が最初にカカオを見たのが中米のホンジュラスだったこと、さらに、メキシコ湾岸で紀元前1200年頃までに遡れるオルメカ文明の遺跡でカカオの存在が示されていたのを理由としてきたからです。

しかし、最新の研究では中米発祥説は否定されています。2018年10月、科学誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載された論文において、カカオの栽培化と活用がエクアドルで約5300年前から始まったことを明らかにし、カカオのルーツは南米アマゾン上流域と言われるようになりました。そもそも、2008年のフアン·カルロスらの発表でカカオの遺伝子のホットスポットがアマゾン川上流域にあるのが示されたことで、アマゾン上流域発祥説が圧倒的に優位でした。2018年の考古学的発見は、それをさらに補強する根拠となりました。

つまりエクアドル産のカカオというのは、オリジナルであり母なるカカオです。そして、今後も驚くような個性を発揮するカカオが発見される可能性が高いと言えるでしょう。
ますます目が離せませんね。


話を戻します。
今回のイベントでは、エクアドル共和国セサル・モンターニョ駐日大使による挨拶の後、エクアドルにおけるカカオの考古学的な発見の解説や、ラティーノ社によるカカオルートを含む観光情報、4ブランド(Hacienda San JoséNoel verdePaccariMamano Chocolate)によるカカオ生産地での取り組みや製品紹介と試食、JICAのサステイナブル・カカオプラットフォームの紹介がありました。

エクアドル産カカオ専門チョコレート4ブランドのプレゼンテーションでは興味をそそる話がたくさんありました。ハシエンダ・サン・ホセは農園の紹介とカカオ収穫後のプロセス管理によってチョコレートの多様なアロマを引き出している話。ノエルベルデは未発表在来種の育苗を開始し、来年のサロン・デュ・ショコラで最初のタブレットを発表するとのこと。興味深いですね。パカリは、2021年にヨーロッパで「エシカルなチョコレート消費」の1位に選出されたこと、SDGsに即した活動により受賞し注目を集めることが、我々に続く世代の生産者や消費者のより良い行動を作るといった話に大変感動しました。ママノチョコレートのバニラカカオアンドゼロは、ノンシュガーのアリバカカオの華やかな香りにバニラが甘い香りを添えていて、ノンシュガーとは思えない食べやすさ。加えて、ママノチョコレートの現地の文化を守りつつ農家を支援し、製品化につなげる実行力には感服するばかりでした。

プレゼンテーションの後はそれぞれに交流しつつ、お酒のペアリングもありました。私はお酒がまるっきり駄目なので、大抵のイベントではアルコールを遠慮しているのですが、今回よい機会だったので日本酒造組合中央会の方に教えてもらいながら香りだけ楽しませてもらいました。

宮崎県雲海酒造の芋焼酎さつま木挽が口当たり柔らかでフルーティーなよい香りで、焼酎の印象が変わりました。お酒を嗜まない者としては、チョコレートとペアリングするよりこの香り単体で楽しみたいかも。一方、藤居醸造の麦焼酎の特蒸泰明はとても麦香があって、ペアリングするとまるで麦チョコのような懐かしい香りが楽しめました。麦チョコっぷりが面白すぎて、周りにいる方々に散々勧めてたのは、決して酔っ払ってたからではありません。

パカリの試食であったカカオパルプ&ニブチョコレートバーがしっかり甘くておいしかったな。

雪印北海道100 マスカルポーネとハシエンダ・サン・ノゼの70%ダークチョコレートの組み合わせ。大量にチョコレートパウダーをかけてもらえます。芋焼酎とのペアリングをおすすめされました。

始終注目を浴びていたのが、ママノチョコレートの野生クリオロでした。

ブースで豆を剥いて試してみたら、タブレットよりもライチ系の香りが強く広がりました。ニブに粉糖をまぶして食べてみたい。

帰りにはお土産まで頂きました。
エクアドル産カカオ、最高です。

今後もエクアドル共和国大使館ではエクアドル産カカオをアピールするイベントを開催するそうです。次も楽しみです。


入口に飾ってあり今回のイベントのシンボル的存在だった鐙型注口土器ですが、これって内部を洗うことはできないし、輪っかの部分は持ちやすそうだけど割れそうだし、二股になってるからといって水を注ぎやすいかというと絶対そんなことはなさそうで、ブーツ型のビールグラスみたいに空気が逆流して注ぎ口から暴れる気がして、全く実用性ないんだろうなと思いました。

下の写真は、チョコレートフェアの会場でそんなことばっかり考え込んでる私の像ではなく、岡山県のBIZEN中南米美術館所蔵《女性土偶 ラ・トリータ文化 エクアドル BC600-AC400》です。

かわいらしいよね。
今ならもれなく東京駅からすぐそばのインターメディアテクで観られます。

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