林真理子著「ピンクのチョコレート」は女性を主人公に恋模様が綴られた短編集です。
表題になっている「ピンクのチョコレート」は、突然芸能界のスターになってしまった恋人とつきあい続ける女の子の話です。
恋人はアイドルで、バレンタインデーにトラック一杯のチョコレートを貰うのですが、チョコレートの色を「犬のクソ」と言い、「なんかさ、女の心のどろどろしたもんが結晶になって、それがチョコになるような気がするのさ」と嫌悪しています。
ひどい言い様ですが、大量にチョコレートが届く立場だとそんな風に言ってみたくなるのかも。
この短編に出てくる女達は、違和感を感じつつも安穏な今を壊さないように生きています。そのためには、どんな残酷な選択だとしても自分に許してしまう強かさと愚かさを備えて。
こんなぐにゃぐにゃした感情を持って生きているんだとしたら、女と付き合うのってかなり面倒くさいわ。
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